第39回 茨城県歴教協大会 報告

 11月18日(日)に牛久市中央生涯学習センターにおいて第39回茨城県歴史教育者協議会大会を開催しました。内容は、講演会と総会でした。参加者は、23名でした。講演会の案内を外部に宣伝した成果として、会員以外の参加者も多く見られました。

 講演会では、諏訪原健さん(元SEALDs)に「個人と多様性を尊重する社会へ」というテーマで話していただきました。
 多様性の尊重に逆行する動きを列挙してもらうことから講演がスタートしました。まず、会場が牛久市ということで、東日本入国管理センターでの人権侵害についてです。このセンターは、在留資格がきれた方や難民申請の不備があった方なども入る施設で、自殺者も出ている状況である問題。「LGBTは生産性がない」発言の問題。東京医大入試での女性差別問題。官公庁や地方自治体での障がい者雇用の水増し問題。つくばや水戸でも行われているヘイトスピーチの問題、などなど。入試の女性差別の問題では、「せめて入試ぐらいは平等だと思っていたのに・・・」と話したり、東京で居場所がなくなったヘイトスピーチが北関東に入り込み身近になってきていることを紹介したりと、現在日本ではいかに多様性が尊重されていないのかが伝わってくる導入でした。
 そして、次にこのように差別の対象になっている方々を捉えるために、近代における「国民国家」に言及していきます。「国民国家の時代は、戦争の時代である」と捉え、大切にされるのはその戦争の時代に勤労できる男性であり、これが第一義的に「国民」として捉えられたと説明します。この「国民」から外れた属性にいる人たち、補助的な立場として女性、外国人、障がい者などが差別の対象になっている、と解説していました。現在も差別が継続している現状をふまえると、戦争が前提となっている「国民国家」観が続いているとの言及がたいへん印象的でした。
 興味深かったのは、日本国憲法が言う「国民」の概念です。日本国憲法の「国民」は、peopleであり、日本にいるすべての人を指す広い概念であるとの解説は、たいへん興味深く、個人を尊重する社会に向けて大切な発想であると感じました。
 最後に個人と多様性を尊重する社会づくりに向けて、①個人が声をあげやすい社会をつくる、②日本国憲法の価値を生かす政治を進める、③学校で民主主義の経験をつんでいく、などの提案がなされました。印象的であったのは②で、日本国憲法を根拠に現実の社会制度を更新する実践を呼びかけていました。「日本国憲法は実践である」ということを改めて感じました。また、諏訪原さんは、①に関連して、個人がゆるくつながる社会的ネットワークを形成する必要性を訴えていました。「ゆるく」という表現が印象的でした。「ゆるく」つながるというのは、一つの手がかりになるような気がしました。
 講演後の協議では、自衛隊の存在意義について、「安全保障」と「戦争法」や「基地移設」と「基地新設」などの言葉の使い方について、東海第二原発と生存権の問題について、どこかの組織や学者の言葉ではなく個人の言葉(自分の言葉)で語ることの意義について(言葉の当事者性について)など、多岐にわたりました。協議の中で目の前の問題を自分の言葉で話すことがいかに大切かを学んだ気がしました。