第119回 牛久支部例会 報告

 1月20日(日)に牛久市のひたち野リフレ4階第2会議室で、第119回牛久支部例会を実施しました。参加者は、8名でした。
 最初に「「わかる授業」を展開するための実践的研究-小学校第6学年社会科の授業実践を通して」を報告していただきました。
 「わかる授業」を展開することが未来を生き抜くことができる子どもを育てる基盤になると考え、「わかる授業」づくりを研究テーマにしたということです。「わかる授業」とは、「授業を通して学んだことがつながる授業」「自分の考えを、根拠を元にして表現することができる授業」であると定義し、社会科における「わかる授業」のための教材開発を行いました。
 実践した小学校6年の社会科は、歴史と経済の2つの内容を1年間で終わらせなければならないので、時間的な余裕はあまりないそうです。今回取り上げた単元は「世界に歩み出した日本」で、殖産興業、日清・日露戦争、条約改正、産業革命などの範囲を8時間で学ぶものです。主題に迫るための手立てとして、①風刺画を活用した授業展開、②考える観点の提示、③自分の考えを、根拠をもとに表現する討論会の実施を考案し実行しました。
 報告に対して出された質問・意見は、第4時の「日清戦争・日露戦争が日本の地位の向上にどのような影響をあたえたのか」で、考える観点として「日本の国内」「外国との関係」「日本人の気持ち」の3つを出しているが「朝鮮人の気持ち」を加えるとより深まったのではないかというものなどでした。第7時の討論会のテーマ「日本は、欧米諸国などの一等国に本当に仲間入りできたのだろうか」について、「一等国」の評価も入れた方がよかったのではないかという意見もありました。この授業の流れでは「戦争のおかげで日本が発展してよかった」と子どもたちが「わかって」しまうのではないかという指摘もありました。教師の確固とした視点に基づいて教材をつくることが大切だということが提起されました。子どもたちのわかり具合を評価するために、「イメージマップ」が有効な方法であることを報告者と共に確認して報告を終了しました。
 2番目に「上海市における産業間格差の実態とその要因に関する考察」というテーマの修士論文の概要を報告してもらいました。報告者は南京市で小中高大学と学び、上海市で銀行に勤務した後、来日し日本語学校を経て、日本の大学院に入学したそうです。
 改革開放の中で中国の経済の中心になった上海市の産業間の所得格差を、4つの産業を取り上げて分析しました。製造業・建築業・金融業・ITサービス業です。近年上海市では、製造業・建築業に比べて金融業・ITサービス業の成長が著しく、所得も高くなっています。その要因として、①外資企業・外資市場との統合度の高さや労働力の移動率の高さ、②外資企業の技術を取り入れ、激しい競争で技術革新を進めている度合い、③教育水準の高い労働者が必要とされる度合い、④政府の規制・介入による独占度の高さをあげています。産業の開放度合、技術水準、人的資本、独占・寡占の程度が4つの産業の所得格差を生んでいるとのことです。
 上海市と中国の現状について報告者と参加者で活発なやりとりがありましたが、特に中国でのキャッシュレス化などのIT化の進み具合は想像以上のものでした。電気自動車の急速な普及、AIの開発競争などにより沿海部は発展が著しいのですが、内陸部はまだまだ取り残されていることもわかりました。日本の若者たちも外国でどんどん学んでほしいと思いました。