第120回 牛久支部例会 報告

 3月24日(日)に第120回牛久支部例会を開催しました。会場は、ひたち野リフレでした。参加者は、9名でした。

 最初に、「次期学習指導要領の新設科目『歴史総合』と『公共』の問題点」を報告していただきました。主に高校で新設される「歴史総合」と「公共」の問題点を中心に報告していただき、学習指導要領における「権利と義務」論についても言及していただきました。「歴史総合」で問題になってることの一つに歴史の捉え方が挙げられます。「近代化」「大衆化」「グローバル化」という捉え方で歴史を掴んでいく考え方です。この点について、中教審のワーキンググループでの議論を取り上げました。たとえば、日本近世史の専門家である大石学さんは、会議において「近代化」や「大衆化」を批判します。「近代化」については、「ヨーロッパ基準で全部話をまとめていって本当に日本の諸問題を解決する力があるのだろうか」、「近代化という言葉でくくると、落ちてくる部分というものがある」という批判をしています。しかし、委員の批判を受け止めて修正していくと「基本構造が解体することになるから、当然『ボツ』になる」と村田さんは解説しています。つまり、ワーキンググループでの審議はよりよい改訂にむけた議論をねらいとしているのではなく、議論して練ったという雰囲気づくりにしかなっていない様子が見えてきます。レポートには、3概念すべてに批判が寄せられているに、検討されることもなく、そのまま新科目の重要概念となってしまったとまとめられています。指導要領づくりは、途中の議論はまったく反映されない実態がよくわかる報告でした。また、「現代社会」をやめて新科目「公共」がスタートしますが、興味深かったのが、「公共」という名称の決定についてです。委員が「公共」という名称の根拠を問うと、事務局の文部官僚は「仮称としての『公共』」という言い方をしています。根拠を問われても明確に応えることができない様子が見て取れます。現在、教科書を作成している時期だと思います。どのような教科書が出来てくるのか、そして、どのような実践になるのかを注目していきたいと思いました。

 つぎに、筑波海軍航空隊記念館で使用するパンフレット(ガイドブック)を示していただき、それを検討する報告がありました。笠間市にある筑波海軍航空隊記念館は、プロジェクト茨城が市の指定管理者として運営しています。市内外からの教育旅行を意識してパンフレットを作成しているそうです。しかし、「行政とのやりとりだけで作ってしまう怖さがある」との問題意識から、「教育側の意見を聞きたい」という目的で報告をしてくださいました。そして、参加者から様々な意見をもらうことで、よりよいパンフレットにしていきたい、とのことでした。意見が分かれた内容がいくつかありました。たとえば、キャラクターを用いるかどうかです。今回の報告では、パンフレットに記念館のキャラクターが掲載されていましたが、「掲載してよいのかどうか」と思案中であるとのことでした。これについては、すでに記念館に関連して浸透しているキャラクターなのでつかってもよいのではないかという意見と、特攻隊の服装をしたキャラクターをつかうことには抵抗感があるという意見に分かれました。やりとりを聴いて、これは記念館が目指す理念に関連する問題だと感じました。他にも、記念館の施設や敷地内を探索しながら学ぶ体験学習の例を示したり、いわゆる「アクティブラーニング」を意識した掲載内容を模索していたりするなど、記念館側が苦労しながら作成を試みている様子が伝わってくる報告でした。ちなみに、笠間市の地理的な状況を考えると、小学校なら水戸の県庁見学や笠間焼の体験などの遠足とタイアップする校外学習がイメージできました。全国に様々な戦争資料館がありますが、戦争の伝え方は様々です。筑波海軍航空隊記念館がどのような活動をしていくのかを注目していきたいと思います。